2008年8月31日

点火系を改良?します。
完成後、セッティングが進み、ブーストを上げていったら5〜6000rpmで失火の症状が出ました。

インプでは全く起きなかったので、RB特有なんでしょうか?
故障含めてかなり多いトラブルのようです。



もともとの点火はダイレクトイグニッションで、イグナイター(パワートランジスタ)のトラブルが
多いらしいので、あやしいので交換しようと思ったのですが、ついでに対策です。



左がR32の純正で、右がR33typeM前期型の純正。
Z32で、前期はトラブルが多く、後期は改善されたとの情報があり、その対策とR33が
同じようなので流用してみます。
ちなみにR33後期からはイグナイターがコイルと一緒になり、トラブルの元になっているとのこと。

ポン付けというわけにはいかず、カプラを変更する必要があります。
CPU側が、R32:6P、R33:7Pで、コイル側が反対。アース線がどっちにあるかだけです。
カプラは左上のように、中の部品(オレンジ色)を外せば簡単に線が抜けるので、差し替えます。



イグナイター(パワトラ)を外した状態。



これが6Pカプラ。
黄色いのを外して線を抜いて差し替えます。



コイル側の7本のうち、アースの1本をCPU側に延ばして差すだけです。
ちなみに、HKSのツインパワーの車種別ハーネスでつながってます。
(ツインパワーは失火対策で事前に取り付けてみたのですが、改善しませんでした。)

かなりゴチャゴチャしてます。。。
直したいですが、配線を全部見直さないとムリっぽいですね。



で、ツインパワー。
MSDのDIS−4との大きさ比較。
性能差はどうなのか不明ですが、効果と手間で今回はツインパワーにしてみました。



ここに取り付け。DIS−4は室内につけないと場所がないので。。。

結局、これでも失火はなくならず、プラグをレーシングプラグに変更して解決しました。

最初付いてたプラグはブリッツ(NGK製)7番です。通常の電極が突き出たタイプ。
NGKのR7436の9番の中古でテストしたら全く失火しません。(冬までに8番で新品買います。)

ブースト1kでも失火せず好調です。
NGKのサイトでもそのような説明がありますが、インプでは1.2k掛けてても問題なかったので
最後に試してみたのですがあっさり解決。ちょっとびっくりでした。


<ちょっと補足>
点火チューニングの仕組みを簡単に。

ポイント式の点火の仕組みを知ってる人は分かると思いますが、基本はポイント式になります。
デスビ内部のカムにより、ポイントの開閉でコイルの1次側へ12Vを掛け(ポイント閉)、
急激に遮断する(ポイント開)と、2次側に誘導電流が発生し、プラグギャップでスパークします。
※この1次電流を流してる時間をドウェルタイム(待ち時間)といいます。

ポイント式では機械的な接点により1次側の電流を制御するため、高回転で接点不良が起きたり、
ポイントそのものの磨耗があるため不安定になったりします。
そのため、ポイントの電流を減らすために、1次側電流のON−OFFを他に移したものがセミトラと
呼ばれる形式です。
ヘッドライトのような大電流に用いられるリレーみたいなものです。

これが進化して、1次電流をイグナイターで制御し、ON−OFF信号のみをECUからの5Vで
行うようになり、デスビからポイントがなくなりました。これがフルトラです。
さらに、進化して、デスビが無くなりダイレクトコイル化された訳です。

だいたい、1980年頃までがポイント式orセミトラ式、以降がフルトラ。
1990年頃からはダイレクト化です。そして2000年頃よりイグナイターもコイルと一体化しました。

で、CDI。
永井電子(ULTRA)のCDI(MDI)、MSDなどです。
CDIの原理は簡単に説明すると、別途12Vを使用して発振(交流化)してトランス(変圧器)で
昇圧(電圧を上げる)し、コンデンサーに貯め、点火信号でコイルに一気に流す、という感じです。
一気に流す電圧が数百Vになっており、一発で2次側に大きな電圧を発生させます。

2輪では当たり前の点火形式なのですが、4輪ではフルトラが基本です。
理由は、低回転ではフルトラのほうがエネルギーが小さくても放電時間が長いため、3000rpm以下が
メインの4輪ではフルトラ、ということになってます。
チューニングは高回転が重要なので、CDIがチューニングパーツとなっています。
低回転も犠牲にしたくない、というユーザーの要望?に応えて、MDIやCDIは低回転で
3回とか放電させて放電時間を延ばしています。

ツインパワーはというと、低回転はフルトラ、高回転はCDIと謳っています。
配線方法(純正配線に繋ぎ足す)から推察すると、
低回転では、ドウェルタイムを延長し、遮断後の2次誘導電流を大きくし、
高回転では、イグナイターの遮断と同時にコンデンサーから大きな電圧を流す。
というような感じになってると思います。

ここで「ドウェルタイムを延ばす」と書きましたが、コイルの能力にもよりますが、ドウェルタイムを
延ばすことで2次側での発生エネルギーが大きくなります。
が、高回転では当然次の点火までの時間が減りますので限界があります。
インジェクター容量と同じですね。
そのため、マルチコイル化=デスビレスは、ドウェルタイムを延ばすための手段とも言えます。

また、コイルの1次と2次の巻き数比を変えても2次側のエネルギーが増えます。

CDIでは、コンデンサーの容量でエネルギーが変えられます。
MSDがデカいのはそういう理由もあると思います。
(ツインパワーは出力のデータが不明、本体の大きさからそんなに効果はないかも?)

あと、1次に流す電圧を変えるもの(ニューボルトなど)もあります。
1次電圧を12Vから18Vまたは20Vへ昇圧させるもので、結構効果があるようです。

注意点ですが、プラグコードのあるモデルでは、純正では絶縁性能が不足します。
何が起きるかというと、プラグコードから他の金属部へ放電(スパーク)します。。。
(73年式911、MSD6ALで、夜エンジンルームを開けるとチカチカと星が見えました(笑)
シリコンコードでも、油分で表面が汚れているとそこから放電します。

古いクルマほど点火系チューンは効果が大きいです。
MSDは2バルブOHVビッグボアなV8に合わせて開発されてますから、形状の良くない燃焼室、
燃え難く、広がりに時間が掛かるなど、良くないエンジンを補う効果もあると思います。
ノッキングしやすくて点火時期が進められないなどの場合、遅めの点火時期でも強引に
燃やしちゃえばいいじゃん的な考えでも良いかと。

是非イジってみてください。